2024年から始まる「新しいNISA」を理解しよう!
2022年12月16日に、与党が2023年度(令和5年度)税制改正大綱を発表されました。この税制改正大綱には、新しいNISAの方針も含まれています。
この記事にたどり着いたということは、きっと新しいNISAに興味がおありだと思います。
本記事は、税制改正大綱で発表された、新しいNISA制度について解説します。
本記事の対象者
- 新しいNISAについて興味がある方
そもそも投資って? という方や、新しいNISAの話の前に、現行NISA制度がよくわからない、って方は、私のブログの「はじめてのシリーズ」の一番最初の記事 から順に読んでみることをお勧めします。
- 本記事の対象者
- まずはじめに(本記事を読む上での注意事項)
- 税制改正大綱で発表された「新しいNISA」の特徴
- 「現行のNISA」と「新しいNISA」の比較
- 「新しいNISA」が2024からはじまるけど、2023年はどうする?
- 「新しいNISA」まとめ
まずはじめに(本記事を読む上での注意事項)
一部のブログでは、さも「新しいNISA」の仕組みが決定したかのような誤解を生みそうな記事がありました。
この記事の執筆時点では、あくまで与党の税制改正大綱が発表された段階です。閣議決定前の話です。
つまりこれから閣議決定を経て、法制化されていくという流れです。なのでまだ「新しいNISA」の仕組みは法制化されていません。
この前提があることをご留意の上で、本記事をお読み頂くようお願いします。
税制改正大綱で発表された「新しいNISA」の特徴
「新しいNISA」については、金融庁のHP に説明がありますのでそれをそのまま引用します。
おっ、手抜きもはなはだしい
ということでこちらが金融庁HPからの抜粋です↓
で、いったい何が新しいの?
この表だけでは、「新しいNISA」が「現行のNISA」に対して、どう変わったのかわからないので、以下で解説していきます。
「現行のNISA」と「新しいNISA」の比較
金融庁のHP を元に、「現行のNISA」と、「新しいNISA」の違いのうち、大事なポイントだけ整理してみました。
☜左が「現行NのISA」、右☞が「新しいNISA」です。
「現行のNISA」では「つみたてNISA」と「一般NISA」の2つの枠組みがありました。
ジュニアNISAは省略。
「現行のNISA」では「つみたてNISA」と「一般NISA」は併用できません。
どちらか1つを選ばなければなりません
これに対し、2024年からの「新しいNISA」では、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という枠組みが設けられます。
どちらも「つみたて」って名前が入ってるし、「一般NISA」が「成長投資枠」って名前に変わっただけじゃないの?
確かにパッと見は同じように見えます。でも実は大幅に改善されています。
具体的には、「現行のNISA」では上で述べた通り、「つみたてNISA」と「一般NISA」のどちらか1つだけを選ばなければなりません。
でも「新しいNISA」では、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は併用可能です。つまりどちらか1つを選ぶ必要はありません。
これでもう、どっちかいいのか悩む必要は無くなるね
変更点はこれだけではありません。これ以外にも大幅に改善されています。本記事では、「新しいNISA」で、ここだけは押さえておきたいという箇所を、以下の4点に絞って解説します。
- ①年間投資枠
- ②非課税保有期間
- ③非課税保有限度枠
- ④枠の再利用
新しいNISAはこの4点を押さえておけばOK
①年間投資枠
年間投資枠とは、文字通り、一年間にNISAで非課税運用可能な最大投資額のことです。
「現行のNISA」は、「つみたてNISA」が年間枠40万円、「一般NISA」が年間枠120万円です。
「新しいNISA」は年間投資枠が、「つみたて投資枠」が120万円、「成長投資枠」が240万円です。
上で述べた通り、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は併用可能です。そしてその年間の最大投資枠は合計360万円です。
枠が大幅に拡大!
②非課税保有期間
「現行のNISA」では、非課税保有期間が定められています。具体的には、「現行のNISA」の「つみたてNISA」の非課税保有期間は20年、「一般NISA」は5年間です。
この非課税保有期間を超えると、保有商品は課税口座へ移管されます。
これに対し、「新しいNISA」では、非課税保有期間は無期限になります。
ロールオーバー不要、非課税期間を気にする必要無し!
③非課税保有限度枠
「現行のNISA」では、非課税保有限度枠 = 年間投資枠 × 非課税保有期間 です。
具体的には「現行のNISA」の「つみたてNISA」の場合は非課税保有限度枠が800万円、「一般NISA」の場合は600万円です。
一方で「新しいNISA」では、期間無限で最大1,800万円と、「現行のNISA」の2~3倍となりました。ただし、1,800万円のうち、「成長投資枠」の上限は1,200万円です。
この1,800万円は、評価損益を含む時価評価額ではなく、買い付け額(簿価残高方式)です。
順調に成長すれば老後2000万円問題も怖くない!?
さらに、非課税保有限度枠が広がっただけでなく、③で示した非課税保有期間が無期限となったたこととの組み合わせで、①の年間投資枠を毎年無理して埋めに行く必要は無くなりました。
どういうこと?
例えば、「現行のNISA」の「つみたてNISA」では、年間投資枠が40万円でしたが、もし仮に年間12万円しか投資できないとすると、残り枠の28万円は翌年以降に繰り越しできません。
なので、毎年12万円を20年間ずーっとつみたて投資したとすると、「つみたてNISA」で、12万円×20年=240万円が、非課税投資額になってしまい、最大枠の400万円を活かしきることができません。
でも、「新しいNISA」では、③の非課税保有期間が無期限なので、①の年間投資枠上限にはとらわれず、自分のペースで投資しやすくなりました。
余裕資金がキビシイ年は控えめに、余裕のある年は多めに投資、といったフレキシブルな投資ができるね
④枠の再利用
「現行のNISA」では、商品売却しても非課税保有限度枠は回復しませんでした。これに対し、「新しいNISA」では、商品売却した場合、非課税保有限度枠が、商品の買い付け額分だけ回復します。
枠が回復すると何がいいの?
ココは基本的には保有した商品を売却することは勧めません。でも、長い年月の中では商品を入れ替えたいことがでてきます。
例えば、長い投資期間の中で自分の保有する商品群のバランスが崩れてきたときです。そんなときは、商品バランスを取り直すために商品を売却/購入することがあります(これをリバランスと言います)。
その時、非課税保有限度枠が回復しないと売却を躊躇しますが、枠が回復するならその心配もないです。
ただし、枠が回復するのは③非課税保有限度枠だけです。①の年間投資枠は回復しませんのでご注意を。
売却で枠が空くのでスイッチングしてリバランス「もどき」ができる
「もどき」と言ったのは、いつでも自由にリバランスはできないからです。イギリスのISA(日本のNISA制度のお手本)は、いつでも自由にスイッチングが可能です。しかし、今回発表された「新しいNISA」ではそこまでフレキシブルではありません。
企業型DCやiDeCoでは既にスイッチング機能がちゃんと実装できているので、ここはもう少し踏み込んでほしかったところです。
今後の改正に期待ね
「新しいNISA」が2024からはじまるけど、2023年はどうする?
新しいNISAが始まるのは2024年からだけど、2023年はどうするのがいいのかな?
すでにNISAを活用しているかた
「現行のNISA」と「新しいNISA」の制度は完全に別物管理されます。つまり「現行のNISA」の利用者は、「新しいNISA」の投資枠をゼロから完全に満額使うことができます。
現行NISAをやっていても「新しいNISA」にデメリットは無いということね
「現行のNISA」も、現時点で利用可能な優れた税制優遇制度です。2023年に投資に回せる余裕資金がある人は、2024年からの「新しいNISA」のこをは気にせず、2023年も「現行のNISA」を継続するのが良いでしょう。
まだNISAを活用していないかた
2024年からに備えて2023年は見送りでいいかな
これは、人それぞれだと思いますが、ココは余裕資金があるなら、「新しいNISA」を待たずに「現行のNISA」を始めてしまうことをお勧めします。
理由は2つ。1つは上記の通り、「現行のNISA」をやっていても「新しいNISA」を開始する時にデメリットは無いこと。
もう1つは、少額でもいいので「現行のNISA」を始めてみると、これまで投資について分からなかったことが分かってきます。それはきっと「新しいNISA」にも役立ちます。
本番前に、「現行のNISA」で練習ってことね
2023年に「現行のNISA」で「つみたてNISA」を選んだ場合は、購入した商品は2042年末まで非課税口座で保有できます。その後は課税口座に移管するか、売却するかを選ぶことになります。
「現行のNISA」は「新しいNISA」に自動的には移管されないことだけ注意してね
あと、「現行のNISA」用の証券口座を2023年中につくっておくと、同じ証券会社で「新しいNISA」用の証券口座を自動で作成してくれるようなので、「新しいNISA」を始める時にスムーズに始めることができるというメリットもあります。
「新しいNISA」まとめ
「新しいNISA」は「現行NISA」と比べて、
- 年間投資枠が拡大!
- 非課税保有期間が無期限化!
- 非課税保有限度枠も拡大!
- 枠の再利用もできちゃう!
という、大幅な改善が発表されました!
なお、NISA口座は、楽天証券、SBI証券、マネックス証券がお勧めです。ココはすべての証券口座を持っていますが、NISA口座は楽天証券で開いています。
この3つの証券会社の投資商品ラインナップは、ほぼ同じです。なのでどこを選んでも失敗なし。
しいて言えば、楽天銀行口座を持っている、楽天経済圏の人は楽天証券。SBI銀行口座を持っている人はSBI証券、ポイントでお得に投資したい人はマネックス証券かな。
ココがもし今からNISA口座を新たに開設するなら、マネックス証券かSBI証券かな。
口座開設は無料
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最後に以前書いた投資記事のリンクをご紹介します。投資に興味のある方、投資初心者にお勧めの記事。
上記シリーズの続編はコチラ。ドルコスト平均法の解説。
お得なNISA制度が更にお得に!
第6版もってるけど第8版も買いました。なぜなら読む価値があるから。
ヤマゲンさんとホリエモン、お二人のお金に対する考え方がとても興味深い