知っているようで実は知らない!?
運用試算表には表示されない、「裏の必要証拠金」!?
トラリピ とは、FXの自動売買手法です。
一度取引ルールを設定してしまえば、設定したルールに従って24時間、自動でココの代わりにトレードしてくれます。
必要証拠金(後述)なんて、「運用試算表使えば一発で計算できるじゃん」という声が聞こえてきそうですが・・・
必要証拠金は、ロスカットレートや証拠金維持率を計算するために必要な重要な値です。
しかし、実は、運用試算表で表示される「証拠金維持率」では証拠金維持率の計算はできません。
証拠金維持率の計算には、運用試算表には表示されない、「裏の必要証拠金」が必要なのです。
裏?怪しいニオイがプンプンアルネ
ということで、本記事では、運用試算表には表示されないトラリピの裏の必要証拠金の計算方法について解説します。
トラリピの必要証拠金の計算
マネースクエアが提供するトラリピ運用試算表は、とても優れた機能です。
トラリピ運用試算表は、簡単な入力のみで、資金的に問題ないか、ロスカットされるレートは? ロスカットした場合の損失は?といった重要な情報をシミュレーションしてくれる機能です。
※トラリピ運用試算表は、マネースクエアに口座開設をしてログインすると、使用することができます。
ココもトラリピで運用を開始する時は、この運用試算表を利用しています。でも、ここで表示される各項目って、ちゃんと理解できていますか?
大事な自分のお金に関するのことなので、難しい用語もあるけど、しっかりと理解しておきましょう。
以下では、ココのCAD/JPYトラリピ設定を例に挙げて説明していきます。
ココのトラリピCAD/JPYの設定
ココのCAD/JPYの設定はこちらです。
2019/1/23に稼働開始してから、これまで順調に資産を増やしてくれています。コロナショックも余裕で耐えました。
以下のグラフは、ココのCAD/JPYの週次実績です。順調に利益を出してくれています。
CAD/JPYのチャート上に、設定を載せたものがコチラです。
コチラの方が、設定のイメージが付きやすいと思います。20年のロングスパンチャートですが、買いレンジがしっかりとカバーできていることがわかります。
CAD/JPYのトラリピ記事はコチラ
CAD/JPYの運用試算表
さて、さっそくこの例をもとに、トラリピ運用試算表で見積もってみましょう。
トラリピ運用試算表は、ログイン後のメニューのこの位置にあります。
上述のトラリピの設定をポチポチと入力後、[計算スタート]を押すと、シミュレーション結果が表示されます。下図はココのCAD/JPYトラリピ設定における、運用試算表です。
トラリピ運用試算表の[必要証拠金①]とは
さて、運用試算表結果の[必要証拠金①]には、155,624円と表示されています。これは何を意味するのでしょうか?まずは用語解説から。
FXの取引を行うためにFX業者に預け入れなければならない最低限の証拠金のこと。
国内のFX取引では、取引金額の4%以上を証拠金として預け入れる必要がある。
例えば、1ドル=100円の時に、10,000ドル(100万円分)の取引を行う場合に必要な証拠金は、100万円の4%、つまり4万円となります。
たった4万円の入金で100万円分の取引が可能となりますが、実際には取引金額のちょうど4%しか入金しないと、すぐにロスカットされちゃいますよ。
ロスカットされないようにするために、通常は必要証拠金よりも多めに入金しておきます。例えば取引金額と同等額を入金しておけば、レバレッジ1倍となり、理屈上は、その通貨がデフォルトしない限りはロスカットされません。
では、先程の運用試算表結果の155,624円はどうやって計算されたものでしょうか?
ココのCAD/JPYトラリピ設定を1つ1つのトラップに分解してやれば、簡単にわかります。
このように、レンジ内のすべてのトラップ毎の証拠金の合計が、運用試算表で表示される[必要証拠金①]です。
ここまでは問題ないですよね。この先から少し話がややこしくなりますよ。
トラリピ運用試算表の[証拠金維持率]とは
トラリピを仕掛ける際に抑えておきたいもののひとつとして、すべてのトラップポジションを保有したときの、証拠金維持率(下図の緑枠)があります。
証拠金維持率って?
保有しているポジションに占める、口座残高の割合のこと。
ロスカットの基準になっている重要な指標。
トラリピの場合は、100%を切ると自動的にロスカットされてしまう。
証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金
ここで、[有効証拠金]は、入金額から、すべてのポジションが成立したときの損失額を引いた値です。
今回の試算例で表すと、入金額が100万円、すべてのポジションが成立したときの損失額が470,400円なので、その差額529,600円が有効証拠金です。
証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金だったね
代入してみると、必要証拠金が155,624円で、有効証拠金が529,600円だったので
証拠金維持率=529,600円÷155,624円=340.31%。
340.31% ?
でも運用試算表には387.11%って表示されているので、間違いですね。
ここまで読んで頂いた方、どこがおかしいか気がづきましたか?
実はコレ、2019/5に行われた、マネースクエアのシステムリニューアルと関係があるのです。
リニューアル前は、必要証拠金は上述の表計算どおりの固定型でした。リニューアル後は、以下のお知らせの通り、リアルタイム変動型へと変更になりました。
実際に、リニューアル前の運用試算表であるらくトラ運用試算表では、まったく同じ設定を入力した倍に、証拠金維持率は340%と表示されていました。先程の計算結果とちゃんと一致します。
では、リニューアル後の必要証拠金維持率を正しく計算するための、リアルタイム変動型となった必要証拠金は、どうやって算出すればよいのでしょうか?
それは、運用試算表で表示されている方法とは別の、裏の必要証拠金の計算が必要になります。
運用試算表で表示される、証拠金維持率は、すべてのトラップポジションを保有した時のものです。
リアルタイム変動型の場合は、買いトラリピの場合は、トラップの一番下限のレートのみが参照レートになります。今回の例だと、69.8円です。
裏の必要証拠金=下限レート×ポジション数×証拠金率
今回の例だと、下限レート69.8円、合計ポジション数49,000通貨、証拠金率は4%(最大レバレッジ25倍)なので、
69.8円×49,000通貨×0.04=136,808円です。
この裏の必要証拠金は、執筆時点では運用試算表には表示されていません。
トラリピ運用試算表の[証拠金維持率]の計算方法
この、「裏の必要証拠金」を使って、あらためて証拠金維持率を計算してみましょう。
証拠金維持率=有効証拠金÷必要証拠金だったね
裏の必要証拠金が136,808円で、有効証拠金は変わらず529,600円です。これを代入すると、
証拠金維持率=529,600円÷136,808円=387.11%。
ばっちり合いました!
まとめ
トラリピの運用試算表はとても便利なのですが、このように、表示される必要証拠金をもとに、証拠金維持率を算出することはできません。
ちゃんと、裏の必要証拠金をベースに証拠金維持率を算出し表示してくれているので、問題ないかもしれません。でも、自分でエクセル等で計算している人は、戸惑っちゃうかもしれませんね。
そして、リニューアルに伴い、必要証拠金の定義がリアルタイム変動型になったので、強制ロスカットされる為替レートも微妙にずれます。
ココの設定の場合だと、リニューアル前の自動ロスカットレートは61.53円でした。リニューアル後は61.45円です。
確かにビミョー
以上、今回は、マネースクエアのトラリピの必要証拠金の計算方法について、解説しました。
FX業者によって必要証拠金の算出式は異なります。当然わずかながらも、証拠金維持率、ロスカットレートに影響を及ぼします。
自分の使っているFX業者の必要証拠金の計算方法は、ちゃんと理解しておこう!
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